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おとうさん 2


おとうさんはアルコホリックだった。


昔から常に晩酌はしていた。
でも、迷惑な酒飲みだったかといわれると、よくわからない。
別に暴力を奮うわけでもなく、浮気をするわけでもない。
私は父によく殴られていたらしいが、そういう愛情表現なんだと思ってか特に意に介していなかったのだろう。全く覚えていない。憎いとかそんな感情もない。
何かあったとすれば、父はよく私に絡んだことだろうか。それは溺愛の域を越えて少々セクハラ的ではあった。
だけど、長期的に見ても余りたいしたことではない。むしろ、私にとって畏怖の対象は母だった。それは、彼氏の件でもご理解いただけると思う。怖い。ホント怖い。

ともかく。
そういうわけで、初めての精神科通院の時に、家族の状況を聞いた医者に「家族機能不全だね」と言われてもピンとこなかったのは、そういう理由があるような気がする。
アルコール中毒者のいる家庭では、家族全員がその人に振り回されて、その影響で子どもがアダルトチルドレンになるとかならないとか。
でも、勧められて買ったアダルトチルドレンの本も未だによくわからない。


父と母の不和は、長年の不満の積み重ねだったのだろう。
父方の両親と同居した母は、夜勤に出るときも祖父母や父に気を使って目覚ましをかけることが出来ず、熟睡することが出来なかったそうだ。
家を出た母は解放されたように、いきいきとしていた。
反比例して、父の生活はおかしくなっていった。


もともと、勤務中にも外回りでうちに戻ってきて、自室でゲームをしたりしていたが、
父は仕事を転々とするようになり、どんどん長続きしなくなっていった。
そのうち、部屋から出なくなって、ゲームしながら酒ばかり飲むようになっていた。

ある日、私が何気なく実家に帰ると、祖母に「お父さんに何か言ってやってくれ」と言われた。
父の部屋に行った私は、それを見てさすがに衝撃を受けた。

薄汚れた畳の上。薄汚れた布団の上に、薄汚れた下着のみを着た父がやせ細ってうずくまっていた。
割れたフレームを瞬間接着剤で直した眼鏡をかけて。
閉じられたカーテン。
いたるところにおいてある酒瓶。
OSがwindowsですらない古いパソコン。
ところどころのどす赤い染みは、足元がおぼつかなくて転ぶたびに流した血だろうか。

父は廃人になっていた。

押し寄せる自責の念と不条理感。
母が家を出たのは仕方がなかったとしても、私は残るべきだったかもしれない。
でも、なんでそもそも別居なんてすることになってしまったのか。
私はそんなことをのぞんでなんかいなかった。
部屋の壁にかかる母の写真。
いま考えれば自分にどうこうすることなんて出来ないのに、それでも父をなんとかできないかと思った。

二人で泣きながら、私はとにかく父に病院に行くようすすめた。
もっとも、当時の私はアルコール中毒がどの病院にかかればいいのかすらわからなかったけれども。
私も頑張るから、おとうさんも頑張って、と、泣きながら父の頭を撫でた。
父は、また泣いた。


その時は知りもしなかった。
私のその同情が、自分自身を苦しめることになるなんて。


続く
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